FXをはじめたばかりの方なら、「pips」という言葉を聞いたことがあるはずです。でも、この「pips」って一体何のことなのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
実は、pipsはFX取引で絶対に知っておかなければならない基本中の基本なんです。これを理解しないままトレードをしてしまうと、思わぬ損失を被ってしまう可能性があります。
この記事では、FX初心者の方でもわかりやすく、pipsの基本的な仕組みから具体的な計算方法まで、すべてを解説していきます。
- pipsの正式名称と基本的な意味
- 通貨ペアごとのpipsの価値の違い
- 実際の取引での損益計算方法
- pipsを使った効果的な活用場面
- 初心者がつまずきやすい注意点
📐 そもそもpips(ピップス)って何?FXの基本単位を知ろう
FXの世界では、為替レートの変動を測る際に「pips」という単位が使われています。この不思議な単位について、まずは基本的なことから見ていきましょう。
💭 pipsの正式名称と読み方は?
pipsは「ピップス」と読みます。これは「percentage in point」の略で、日本語では「パーセンテージ・イン・ポイント」と呼ばれることもあります。
でも、正式名称よりも大切なのは、pipsがFXにおける「最小単位」だということです。株式投資でいう「1円」のような存在といえばわかりやすいでしょうか。
実際のFX取引では、為替レートが「1pip動いた」「10pips上がった」といった表現で使われています。これは、トレーダー同士が共通の言語として使っているんです。
🔍 なぜFXでpipsという単位が使われるの?
FXでは、世界中のさまざまな通貨が取引されています。ドル円、ユーロ円、ポンド円など、通貨ペアによって価格の桁数が大きく異なります。
たとえば、ドル円なら「150.25円」といった価格になりますが、ユーロドルなら「1.0850」といった価格になります。これらの異なる通貨ペアを統一的に表現するために、pipsという単位が生まれたのです。
pipsを使うことで、どの通貨ペアでも同じ感覚で値動きを把握できるようになります。これは、世界中のトレーダーが同じ土俵で取引するために必要な工夫なんです。
🆚 pipsと通常の通貨単位の違いとは?
普段の生活では「1円上がった」「10円下がった」という表現を使いますが、FXでは「1pip上がった」「10pips下がった」という表現になります。
この違いは、FXが異なる通貨同士を交換する取引だからです。たとえば、ドル円の場合、1pipは0.01円(1銭)に相当します。
でも、ユーロドルの場合は1pipが0.0001ドルに相当します。このように、通貨ペアによってpipsの価値が変わるのが特徴です。
💰 【通貨ペア別】1pipsはいくら?具体的な金額を知ろう
pipsの基本がわかったところで、実際に1pipsがいくらの価値があるのかを見ていきましょう。これは取引する通貨ペアによって大きく変わってきます。
🇯🇵 米ドル/円などの対円通貨ペアの場合
日本人にとって最も身近な通貨ペアは、米ドル/円(USD/JPY)です。この場合、1pipsは0.01円、つまり1銭に相当します。
たとえば、ドル円のレートが150.25円から150.35円に上がった場合、これは10pips上昇したことになります。10pips = 0.1円(10銭)の変動です。
他の対円通貨ペアでも同様で、ユーロ/円(EUR/JPY)やポンド/円(GBP/JPY)でも1pips = 0.01円となります。これは覚えやすいですね。
🌍 ユーロ/米ドルなどの外貨同士の通貨ペアの場合
外貨同士の通貨ペア、たとえばユーロ/米ドル(EUR/USD)の場合は少し異なります。この場合、1pipsは0.0001ドルに相当します。
ユーロドルのレートが1.0850から1.0860に上がった場合、これは10pips上昇したことになります。10pips = 0.001ドル(0.1セント)の変動です。
この0.0001という数字は、小数点以下4桁目の変動を表しています。FXの世界では、この小数点以下4桁目の変動が1pipsとして扱われることが多いのです。
🏢 FX会社によってpipsの定義が違うって本当?
実は、FX会社によってpipsの表示方法が微妙に異なることがあります。特に、小数点以下の桁数の扱いが会社によって違うことがあります。
たとえば、あるFX会社ではドル円を「150.25」と表示し、別の会社では「150.251」と表示することがあります。この場合、後者の会社では小数点以下3桁目も表示されているということです。
ただし、基本的なpipsの定義は変わりません。どのFX会社でも、ドル円なら1pips = 0.01円という基本ルールは同じです。取引前に、自分が使うFX会社のルールを確認しておくことが大切です。
🧮 pipsを使った利益・損失の計算方法を覚えよう
pipsの価値がわかったところで、実際の取引での損益計算方法を学んでいきましょう。これは実際の取引で必要不可欠な知識です。
📊 基本的な損益計算式はこれ!
FXでの損益計算は、以下の式で行います。
損益 = pips数 × 取引量 × 1pipの価値
この式を覚えてしまえば、どんな取引でも損益を計算できるようになります。
たとえば、ドル円で1万通貨を取引した場合を考えてみましょう。1pipsの価値は100円(1万通貨 × 0.01円)になります。
もし10pips利益が出た場合、損益は「10pips × 1万通貨 × 0.01円 = 1,000円」となります。
💡 【実例付き】10pips動いたらいくら儲かる?
具体的な例で計算してみましょう。ドル円を1万通貨買った場合を想定します。
レートが150.00円から150.10円に上がった場合、これは10pips上昇したことになります。
計算式に当てはめると、「10pips × 1万通貨 × 0.01円 = 1,000円」の利益になります。
逆に、レートが150.00円から149.90円に下がった場合は、「-10pips × 1万通貨 × 0.01円 = -1,000円」の損失になります。
このように、pipsを使えば簡単に損益を計算できるようになります。
📈 取引数量によって1pipsの価値が変わる理由
先ほどの例では1万通貨で計算しましたが、取引量が変わると1pipsの価値も変わってきます。
たとえば、10万通貨で取引した場合、1pipsの価値は1,000円(10万通貨 × 0.01円)になります。
同じ10pips動いても、1万通貨なら1,000円、10万通貨なら10,000円の損益になります。これは、取引量が10倍になったからです。
このように、取引量によって1pipsの価値が変わることを理解しておくことが重要です。大きな取引量で取引すれば、少ないpips数でも大きな損益になってしまいます。
🎯 初心者が知っておきたいpipsの活用場面
pipsの計算方法がわかったところで、実際の取引でpipsをどのように活用するのかを見ていきましょう。
💸 スプレッド(取引コスト)を比較するとき
FX取引では、買値と売値の差である「スプレッド」が取引コストになります。このスプレッドもpipsで表示されています。
たとえば、ドル円のスプレッドが0.3pipsの場合、1万通貨の取引で30円のコストがかかることになります。
FX会社を選ぶときは、このスプレッドを比較することが大切です。0.3pipsと0.5pipsでは、1万通貨の取引で20円の差が出てきます。
頻繁に取引する方にとって、このスプレッドの差は大きな影響を与えます。pipsを理解していれば、より有利な条件で取引できる会社を選べるようになります。
🛡️ 損切りラインを設定するとき
FX取引では、損失を限定するために「損切り」という技術が使われます。この損切りラインを設定する際にも、pipsが活用されます。
たとえば、「10pips下がったら損切りする」という具合に、あらかじめ損切りラインを決めておくことができます。
この場合、1万通貨の取引なら1,000円の損失で取引を終了することになります。pipsを使えば、具体的な金額で損失をコントロールできるようになります。
損切りラインを設定することで、感情的な取引を避けて、計画的な取引ができるようになります。
📝 トレード成績を分析するとき
トレードの成績を分析する際にも、pipsが重要な指標になります。「今月は合計で何pips取れた」「平均的に何pips取れている」といった分析ができます。
取引量が異なる取引を比較する場合、金額ではなくpipsで比較することで、純粋な取引の上手さを測ることができます。
たとえば、1万通貨で10pips取った取引と、10万通貨で10pips取った取引は、利益額は違いますが、トレードの精度は同じです。
このように、pipsを使って分析することで、自分のトレード技術の向上を客観的に把握できるようになります。
⚠️ pipsで失敗しがちな初心者の落とし穴
pipsを理解したつもりでも、実際の取引では思わぬ落とし穴があります。初心者の方が特に注意すべきポイントを見ていきましょう。
🚨 pipsだけで損切りを決めると危険な理由
「10pips下がったら損切り」という固定的なルールは、一見合理的に見えますが、実は危険な面もあります。
同じ10pipsでも、相場の状況によって意味合いが大きく異なります。普段の変動が5pipsぐらいの静かな相場で10pips動くのと、普段から50pips動くような激しい相場で10pips動くのでは、全く違う意味になります。
また、重要な経済指標の発表前後など、相場が大きく動きやすい時期に固定的なpipsルールを適用すると、すぐに損切りにかかってしまうことがあります。
pipsは目安として使いながらも、相場の状況や時間帯なども考慮した柔軟な判断が必要です。
💰 取引量を考えずにpipsだけ見てしまう罠
「今日は20pips取れた」と喜んでいても、取引量を考えなければ実際の損益はわかりません。
1,000通貨で20pips取った場合の利益は200円ですが、10万通貨で20pips取った場合の利益は20,000円になります。
逆に、大きな取引量で取引している場合、少ないpips数でも大きな損失になってしまいます。「たった5pipsの損失」でも、10万通貨なら5,000円の損失になります。
pipsを見る際は、必ず取引量とセットで考える習慣をつけることが大切です。
🔄 通貨ペアごとのpips定義を混同してしまう問題
ドル円では1pips = 0.01円ですが、ユーロドルでは1pips = 0.0001ドルになります。この違いを混同してしまうと、思わぬ計算ミスにつながります。
特に複数の通貨ペアを同時に取引する場合、それぞれの通貨ペアでpipsの価値が異なることを忘れてしまいがちです。
また、クロス円以外の通貨ペア(ユーロドル、ポンドドルなど)では、日本円に換算する際に現在の為替レートも考慮する必要があります。
各通貨ペアの特性を理解して、それぞれに適した計算方法を覚えることが重要です。
📚 まとめ
- pipsはFXにおける最小変動単位で、異なる通貨ペア間で統一的に値動きを表現するために使われる
- ドル円などの対円通貨ペアでは1pips = 0.01円、ユーロドルなどの外貨同士では1pips = 0.0001ドル
- 損益計算は「pips数 × 取引量 × 1pipの価値」で求められる
- スプレッド比較、損切り設定、成績分析などでpipsを活用できる
- 相場状況を無視したpips固定ルールや、取引量を考慮しない判断は危険
pipsはFX取引の基本中の基本です。最初は複雑に感じるかもしれませんが、慣れてしまえば非常に便利な単位です。
まずは少額の取引から始めて、実際にpipsの動きと自分の損益の関係を体験してみてください。理論だけでなく、実際の取引を通じて理解を深めることが、FXで成功するための第一歩になります。
pipsを正しく理解することで、より計画的で安全な取引ができるようになります。焦らずに、一歩ずつ学んでいきましょう。
外国為替証拠金取引(FX)は、元本保証のない金融商品です。
レバレッジ効果により少額の資金で大きな取引が可能になる一方、想定以上の損失が生じるおそれがあります。為替相場の変動や流動性、経済指標・政策変更などにより、大きく損益が変動する可能性があることを十分にご理解の上、ご自身の判断と責任においてお取引ください。
- 金融庁「FX取引に関する注意喚起」
https://www.fsa.go.jp/policy/kasoutuka/20211214-1/01.pdf - 金融庁「レバレッジ取引の仕組みと注意点」
https://www.fsa.go.jp/ordinary/kabu/03.html - 日本証券業協会「外国為替証拠金取引(FX)とは」
https://www.jsda.or.jp/jikan/fx/ - 国民生活センター「FX取引に関する相談事例と注意点」
https://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-fx.html